パニッツィ(Panizzi)社は、長年ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ(Vernaccia di San Gimignano)における指導的な生産者のひとつであり、潜在的な品質の認知と理解を高めるのに中心的役割を果たしたジョヴァンニ・パニッツィとともに、1979年の設立以来、その品種や原産地を擁護してきた。
ヴェルナッチャは、まさにパニッツィによってそのワインと品種が最初に世に出されたのであり、テロワール志向で環境保全的な思想で造られる品揃えの中核を為している。
パニッツィの最初のヴィンテージである1989年から33年ものあいだ、ここの土地の特徴を表現したトスカーナを代表するその白ワインは、デキャンター・ワールド・ワイン・アワード(DWWA)においてのみならず、広く批評家による喝采の対象となっている。
トスカーナの白を牽引
ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノは、1966年にイタリアワインにおける最初のDOC認定を受けた後、1993年にはDOCGに昇格し、トスカーナの白ワインの指導的立場を確かなものとした。ブドウはサンジミニャーノ村周辺の、凝灰岩や砂岩をベースとする土壌に育ち、当地特徴的なタワーは、1276年にまで遡る地域におけるこの品種の歴史を想い起こさせる象徴となっている。
フレッシュな白い柑橘から、肉付きの良い果樹園のフルーツ、そして花のようなニュアンスに至る穏やかなアロマとともに、ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノは、熟成とともに明確な火打石臭のようなフリンティさへと進化する、トレードマークとも言うべきミネラル感を持つ。このブドウ品種の風味開花は、同じくミネラル感を持つ他の主要な白ブドウ品種(リースリングやアシルティコ等)とは違い、ゆっくりと蜂蜜やナッツのアロマを見せてくる。そのエレガンスさや骨格は、樽とより良く融合し、リゼルヴァのスタイルは更に熟成させる価値を高める。
食事の供としての使命
ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノのフリンティな優雅さとしなやかなアロマの複雑さは、典型的な食事のためのワインであり、その塩味やミネラル感は、料理の幅広いフレーバーや味わいを十分に補完する。
最も純粋にその特徴を表すパニッツィのヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノDOCG(DWWA2022で銀メダル、91ポイント)は、ステンレスタンクでの発酵と、澱との接触による熟成を行い、はっきりとした白い核果実や柑橘のアロマ、生き生きとした酸とフレッシュな塩味を備える。これらの特徴は、寿司、セヴィーチェ、野菜や魚介の天ぷら、そしてクリーミーなチーズに対して明白な相乗性を示す。
パニッツィ創成の地であるヴィニャ・ディ・サンマルゲリータ(Vigna di Santa Margherita)の区画のような場所の、低収量な古樹から得られたアロマの凝縮の高いブドウは、深いフレーバーとクリーミーな味わいのワインを創り出す。ヴィニャ・ディ・サンマルゲリータのヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノDOCG(DWWA2022で銀メダル、90ポイント)について、パニッツィは部分的に樽で発酵させたことにより、スパイスやナッツのニュアンスが、フレッシュな基本のフルーツフレーバーに加えられた。この香ばしさやクリーミーさは、魚のパスタ、ハーブでローストしたチキン、グリルした鯛、そしてある程度熟成したチーズと完璧な相性を示す。
すでに述べたように、ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノは、樽内や瓶内で美しく開花する熟成向きワインを産みだす、すばらしいポテンシャルを持つ。パニッツィは、標高400メートルの区画のブドウを使い、新樽で発酵を行った後12か月の樽熟成をすることにより、単一畑の特徴を持つリゼルヴァ・ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノDOCG(DWWA2022で金メダル、95ポイント)で、その実力を発揮した。その後ワインはステンレスタンクに移され、更に7か月間澱との接触状態に置かれ、出荷前に瓶詰めされるまでには24か月も要している。そのフリンティさ、ナッツのようなまろやかさ、生き生きとしたフルーツ、そして類まれな余韻は、フレーバーの強弱を問わずそれらを引き立てることができ、幅広い料理とのマッチング・オプションを持つと言える。例えば、新鮮な魚介料理、バターで調理したロブスター、塩焼きにした魚、パエリヤ、または多彩なタイプのチーズ等が考えられ、これらは社を代表するこのヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノと完璧な相性を示す。